思考法・仕事術

思考停止に陥りやすい人の3つの特徴とその対策

この記事を読めば分かること

  1. 思考停止とはどういう状態か
  2. 思考停止に陥りやすい人の3つのタイプ
  3. 思考停止に陥らないための対策

仕事や日常生活で思考停止になってしまうことはありませんか。考えて答えを出さないといけないのに、何も考えられなくなってしまう。そんな瞬間を経験したことがあると思います。

また、人と話しているときに「この人今、思考停止してるな」と感じることはないでしょうか。「なんで思考停止してるんだろう?」と疑問に思うほど、会話が止まってしまうことがあるかと思います。

この記事では、思考停止とはどういう状態か、その思考停止する人にはどんな特徴があるか、思考停止しないためにはどうしたらいいか、の3点についてご紹介します。

目次

思考停止とはどういう状態か

思考停止の定義

そもそも思考とはなんでしょうか。広辞苑には次のように記載されています。

思考の定義(広辞苑より)

  1. 考えること。経験や知識をもとにあれこれと頭を働かせること。「思考を巡らす」「思考力が鈍る」
  2. 哲学で、広義には、人間の知的精神作用の総称。狭義には、感覚や表象の内容を概念化し、判断し、推理する知性の働きをいう。
  3. 心理学で、感覚や表象の内容を概念化し、判断し、推理する心の働きや機能をいう。

つまり、思考停止とは、頭を働きが止まる、知性・精神作用が止まる、判断・推理する心の働きや機能が止まることなどを指します。

思考停止に陥りやすいシチュエーション

過度なプレッシャーがかかるとき

重要なイベント前で緊張していたり、難しいタスクを課されたときなど、過度なプレッシャーがかかっているときに思考停止に陥りやすくなります。

「正しい答えを出さなければ」「きちんと考えて話さなければ」「間違ったことを判断をしないようにしなければ」「絶対に失敗してはいけない」など、思考がオーバーフローしすぎて、かえって何も考えられなくなってしまいます。

想定していない事態が起こったとき

想定していなかった突発的な出来事が発生した場合に、思考停止に陥りやすくなります。

苦手な上司から急に呼び出された、自分が担当する取引先でトラブルが発生した、目の前で急に人が倒れてしまったなど、想定していなかったことが起きると、それに対処する方法が頭に浮かばず、思考停止に陥りやすくなります。

考えすぎてしまうとき

1つのことを長く考えすぎてしまうと、思考停止に陥りやすくなります。

行動計画をずっと立てていたり、心配事を解決する方法をずっと考えていたりすると、これ以上何を考えたらいいのか分からなくなってしまい、思考停止に陥ってしまいます。

さまざまな感情があふれ出たとき

喜び、怒り、悲しみ、驚きなどの感情があふれ出てしまったときに思考停止に陥りやすくなります。

大好きな人から告白されたとき、人の死に直面したとき、許せないことがおこったときなどが、これにあたります。

思考停止に陥りやすい人の特徴と対策

思考停止に陥りやすい人の3つの特徴

タイプ1:計画性や将来ビジョンがない

目標や夢など未来のことに対して計画性や将来ビジョンを持っていない人は思考停止に陥りやすくなります。

人は未来に起こりえる出来事に対して備えるために、さまざまな思考を働かせます。夢や目標があると、自分は何がしたいのか、そのために何をしないといけないのか、といったポジティブな思考を働かせることができます。同様に、病気や事故などのリスクに備えるためにも思考を働かせます。結果的にさまざまなアイデアや出来事にアンテナを張り、思考を巡らすことができます。

しかし、そういった計画性やビジョンがない人は思考を働かせようとしません。なぜかというと、そのままの状態でいた方が楽だからです。これを心理学の用語で「現状維持バイアス」といいます。

現状維持バイアスとは

現状維持バイアスとは、現状から未知の状態に変化することを「安定した現状が無くなってしまう損失」と認識してしまう心理です。Richard Zeckhauser氏とWilliam O. Samuelson氏が1988年に論文で発表しています。これが働くとたとえ今の状態や今後の展望が悪いものだとしても、「改善していく」という思考が働かないのです。

現状維持バイアスが働き、思考停止に陥っている人の具体的な特徴は、次のとおりです。

毎日同じことを繰り返している

毎日の行動が完全に習慣化されている人は、現状維持バイアスが働き、思考停止に陥っています。

朝起きて毎朝同じような朝食を食べ、同じ通勤経路で同じ時間に同じ電車に乗り、会社では長年続けている同じ仕事を行い、同じ時間に業務を終えて同じ時間に自宅へ戻り、同じテレビ番組を見て、同じ時間に寝る。

こういうタイプの人は、日常の生活サイクルに溶け込みすぎてしまい、そこに変化や改善を加えることに抵抗を感じ、結果毎日を同じことの繰り返しに終始してしまいます。

思い込みが激しい

思い込みが激しい人は、思考停止に陥りやすくなります。それは、自分の考えが正しいと信じ込んでしまい、人から得られる新しい考えを受け入れることができません。

このタイプは自信過剰な人に多いです。自分の価値観や常識を疑うことがなく、結果的に思考停止に陥ってしまいます。

頭が固い

思い込みが激しい人と似ていますが、いわゆる「頭が固い人」も思考停止に陥りやすくなります。

「頭が固い人」は慣れ親しんだ古い考えに固執してしまいます。「今までそれでやってきたから問題ない」「伝統や慣習を守っていかないといけない」などの固定観念にとらわれていると、結果的に思考停止に陥ってしまいます。

情報を鵜呑みにする

人から得た情報を鵜呑みにしてしまう人は、思考停止となっている可能性があります。

人のうわさ話や儲け話、口コミやSNSのインターネットやSNSなどの情報をただ受け入れるだけの人は、「この情報が本当に正しいか」「この情報を信じていいのか」「違う意見は落ちていないか」などの思考ができていません。

これは、そもそもの自分のビジョンや計画が定まっていないため、何を基準に情報を選べばいいのか分からなくなっているからです。

素直と言えば聞こえはいいですが、最悪の場合は詐欺にあったり、間違った判断をしてしまう可能性があるので注意が必要です。

指示待ちの人

指示待ちの人は思考停止に陥っている可能性が高いです。

指示待ちの人は、そもそも物事に対して「こうあるべきだ」「自分としてはこう進めたい」という自分の意見を持っていません。その結果、人から指示されたことを淡々とこなすだけになってしまい、思考停止に陥ってしまいます。

不平不満が多い人

不平不満が多い人は、思考停止に陥っている可能性があります。

自分にとって不都合なことが起こった時に、それをすぐ周囲の人のせいにしてしまう人がいます。「自分のせいじゃない」「悪いのは周り」と自分の責任を認めようとしません。

実際に、原因が自分じゃない場合もあると思います。しかし、基本的に人は他人を変えることはできません。不平不満を言うだけでは根本的な解決とならず、そういう人は思考停止に陥っていると言えます。

タイプ2:思考が過剰となっている

タイプ1とは逆に、思考が過剰になりすぎている人も、結果的に思考停止に陥ってしまいます。

スイスの作家ドベリ・ロルフは、著書「Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法」のなかで、この思考が過剰となり行動がとれなくなることを「思考の飽和点」と名付けています。

思考の飽和点に達してしまうと、それ以上は考えても何も分からないのに「まだ心配だ」「まだ考えられることがあるんじゃないか」というように、いつまでも思考の輪から抜け出すことができません。 その結果、思考停止に陥ってしまうのです。

「思考しすぎて思考停止」というのは、一見矛盾しているようにも思えます。しかし、これは日常生活でもよく経験することです。心配事について考えを巡らせているときに、考えても考えても答えが出るわけではないのに、いつまでも考えてしまう、という経験はみなさんにもあるのではないでしょうか。

具体的に、思考が過剰になりやすい人の特徴は以下のとおりです。

心配性な人

心配性な人は、思考が過剰となりすぎて結果的に思考停止に陥ってしまいます。

たとえば、会社で上司に自分のミスを報告しなければならないとき。「どのように話せば怒られないか」「どのタイミングで話せばいいか」「そもそも報告しなくてもバレないんじゃないか」ということをいつまでも思考してしまいます。

上司がどのように反応するかは、実際に話してみないと分からないことなのですが、100%の確信を得るまで考えこんでしまい、結果的に思考の飽和点に達してしまうのです。

効率を求めすぎる人

効率を求めすぎる人は、行動を起こす前に「どのように進めることが最も効率的か」を考えすぎてしまい、結果的に思考停止に陥ってしまいます。

たとえば英会話教室に通う人が、「どの英会話教室が一番いいか」ということについて、さまざまな英会話教室をリサーチします。講師の質や金額、立地、口コミなどさまざまな観点でリサーチしますが、検討ポイントが多すぎて、いつまで経っても結論が出ません。

結果的に、これ以上検討するポイントがない地点まで来てもまだ、「どの英会話教室がいいか」について思考を巡らせてしまい、思考の飽和点に達してしまうのです。

完璧主義者

完璧主義者は100%の完成度でないと納得できません。しかし、100%の完成度を作り上げるには多大な労力が必要になります。

仕事の80%を完成するのは20%の労力でできますが、残りの20%を完遂するためには80%の労力を投入する必要があります。これを、「パレートの法則」といいます。パレートの法則は、イタリアの経済学者ヴィルフレッド・パレートによって提唱された法則で「80:20の法則」とも呼ばれます。

残りの1%を埋めるために、延々と思考を続ける。解決する方法が見つかればまだいいですが、いつまでも1%を埋めることができず、思考停止に陥ってしまう可能性があります。

タイプ3:疲れがたまっている

疲れがたまっているタイプの人は、思考に必要なリソースを割くことができず、思考停止に陥ってしまいます。

何かを思考したり判断するということは、脳に多大な負担をかけます。この思考や判断は、人の意志の力で行うものですが、人の意志の力は決して強いものではありません。

人の意識には、顕在意識と潜在意識の2つの領域があります。顕在意識とは、思考や判断を行う領域で自身でコントロールできる領域です。一方、潜在意識とはいわゆる「無意識」のことで、自身でコントロールできない領域です。

この顕在意識と潜在意識の割合は、1:9と言われています。つまり、自身がコントロールできる領域は、意識全体のたった1割しかないのです。このため、潜在意識が「やりたくない」「考えたくない」と感じていると、どれだけ意志の力で思考や判断しようとしてもうまくできないのです。

その原因の1つが、慢性的な疲労です。ここでいる疲労とは、肉体的な疲れだけでなく、精神的な疲れも含まれます。疲労がたまりやすい人の特徴は以下のとおりです。

キャパオーバー

仕事や勉強、家事など日常のタスクが明らかにキャパオーバーとなっている人は、疲労がたまり、思考停止に陥りやすいでしょう。

短い期間であれば意志の力で乗り切ることができますが、それが長期化すると、潜在意識が「これ以上はやらないで」と悲鳴をあげます。結果、疲労が蓄積されてしまい、だんだんと思考や判断がうまくできなくなってしまいます。

燃え尽き症候群

キャパオーバーの状態が続き、ようやくそれが達成したといっても安心できません。燃え尽き症候群になってしまう可能性があるからです。

長期にわたる負担により、自身の身体は疲れ切っています。何か新しいことを始めようと、蓄積された疲労により、「始めよう」という判断ができなくなってしまいます。

やりたくないことをやっている

たとえ、やっていることがキャパオーバーでなかったとしても、そもそも自分がやりたくないことをやらされていると、意志の力を酷使することになります。

すると、潜在意識に少しずつ「これ以上はやりたくない」という意識が募っていき、精神的な疲労へとつながってしまいます。

思考停止に陥らないための対策

それでは、思考停止に陥らないためにどのようなことに気を付ければいいでしょうか。思考停止に陥りやすい人の特徴を踏まえて、以下のとおりご紹介します。

タイプ1(計画性や将来ビジョンがない人)が思考停止に陥らないための対策

将来の自分を想像してみる

自分が今後、どのような道を進んでいくのか。どんな自分になりたいかを明確に想像してみましょう。

漠然と想像するだけでは、思考は生まれてきません。できれば紙などに将来のビジョンを書き出してみます。そして、そのビジョンと現状の自分を比べてみて、何が足りないか、どう行動すればいいのか、不足する部分をどんどん書き出してみましょう。

人の思考や記憶力には限界がありますが、紙に落とし込むことで、その負担を減らすことができます。またイメージがより明確となり、さらなる思考を生み出すきっかけになるでしょう。

今までの価値観や常識を見直してみる

こだわりが強い人や自信過剰になっている人は、いったん自身の価値観や常識を一度見直してみることが必要です。

今までに当たり前にやってきたことや考えてきたことを疑ってみることで、新しい価値観・新しい思考が生まれてくる可能性があります。

自分の価値観や常識を見直すためには、いろいろな本を読むことをおすすめします。政治・経済・宗教・国際・自己啓発 etc.. 今まで触れたことなかった本を手に取ることで新しい価値観や今までの常識を見直すきっかけになります。

今までと少し違うことをしてみる

毎日同じことを繰り返している人は、日常の習慣に今までと少し違う行動を取り入れると、新たな思考が生まれる可能性があります。

たとえば、いつもの通勤経路から外れて、少し遠回りして会社へ向かってみる、いつとは違うお店でランチを食べてみる、などが挙げられます。

また、いつも何気なく見過ごしていたものを調べてみる、ということも面白いでしょう。たとえば、電車の広告で掲載されていたものをネットで詳しく調べてみると、「今はこんなサービスがあるのか」「こういうものが今の若者には人気なんだな」といった新たな発見があるかもしれません。

タイプ2(思考が過剰となっている人)の対策

とにかく行動する

先ほどご紹介した「Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法」のなかでドベリ・ロルフは、「思考の飽和点」に達した場合の対処法について「ある程度調べたらすぐに行動する」ことをおすすめしています。

未来とは霧がかかった山道のようなものです。視界が開けている範囲はせいぜい数m先までで、そこから先はいくら調べて分からないのです。ある程度の調査を行い致命的な問題がなさそうであれば、すぐに行動に起こし、問題が発生したら徐々に修正していく。これが、一番の近道であり確実な方法です。

行動する期限を決める

思考が過剰となりやすい人が何かを計画するときは、その計画期限を決めてしまいましょう。

英国の歴史学者・政治学者シリル・ノースコート・パーキンソンは、著書『パーキンソンの法則:進歩の追求』のなかで、「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」と述べています。

計画の期限が定まっていないと、延々と計画ばかりを行ってしまいます。「計画をたてるのは~~までにして、そこからは何があっても行動しよう」と決めておけば、思考停止に陥ることはなくなります。

選択肢を減らす

選択肢は多い方がいい、と思う方が多いと思いますが、必ずしもそうではありません。選択肢は多すぎてしまうと、それらの選択肢を比較し、考慮するために多大な労力をとられてしまうからです。

いくつかの候補を選ぶときには、早い段階で3つ程度に絞っておきましょう。最初からすべての選択肢を詳細を調べると、その後思考停止に陥ってしまう可能性があります。

タイプ3(疲れがたまっている人)の対策

朝に重要な思考や判断を行う

朝は、思考や判断にもっとも優れた時間帯です。なぜならば、寝て起きた直後はもっとも1日のなかでもっとも疲労が少ない時間であるため、思考や判断に意志の力を割きやすいからです。

イスラエルの裁判所で、ほとんど同じ罪を犯した4人の受刑者がいました。彼らをそれぞれ、仮釈放するかしないかを判断したときに、このうち2人は仮釈放が認められ、残りの2人は認められませんでした。この判断の違いは、認められた2人の裁判は午前中の早い時間、認められなかった2人は午後の遅い時間に裁判が開かれたことです。

1日のうちの早い時間であるほど、思考や判断がクリアになります。慢性的に疲れている人も、可能であれば朝に重要なことを考え、判断してみましょう。

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良質な睡眠をとる

質のいい睡眠をとることで、効率的に疲労を回復させることができます。

質のいい睡眠のためには、朝30分以上朝日を浴びる、夜寝る前はなるべく暗い場所で過ごすなど、生活習慣を改善するなどを行う必要があります。睡眠時間や就寝時間を見直すことでも、睡眠の質向上につながります。

夜なかなか寝付けない人に試してもらいたい5つの方法

 

マインドフルネス瞑想を習慣に取り入れる

マインドフルネス瞑想は、脳疲労を回復させるためにとても効果的です。

日常の不安や心配事から解放され、リラックスした気持ちになります。また、呼吸を整えることで自律神経にもよい影響を与えます。1日数分間行うだけでも効果があります。習慣に取り入れやすい取り組みなので、ぜひ行ってみてください。

ストレス解消にマインドフルネス瞑想をおすすめする5つの理由

 

普段の呼吸を見直す

マインドフルネス瞑想を行うことが難しければ、普段の呼吸を少し見直すだけで、疲労回復に効果があります。

「7-11ブリージング」「ボックスブリージング」など、ストレス解消に役立つさまざまな呼吸法があります。ぜひ、日常生活に取り入れてみてください。

ストレス軽減に効果的な呼吸法3選

参考文献:思考停止に関する本

  1. Think clearly 最新の学術研究から導いた、よりよい人生を送るための思考法 ドベリ・ロルフ 著
  2. Think Smart 間違った思い込みを避けて、賢く生き抜くための思考法 ドベリ・ロルフ 著
  3. 思考停止という病 苫米地英人 著

まとめ

思考停止に陥ることは誰にでもあることです。

どんな状況だと思考停止に陥ってしまうのか、どういうタイプの人が思考停止に陥りやすいか。それを把握しておけば、いざというときに思考停止に陥る可能性が少なくなります。

自分自身が思考停止していると感じた人は、普段の行動や考え方を少しずつ見直していけば、きっと改善されるでしょう。

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