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【幸福度ランキング1位】フィンランドから学ぶ働き方

この記事を読めば分かること

  • フィンランドはどんな国か
  • フィンランド人は「休み」を上手にとっている

フィンランドと聞くと、みなさんどんなイメージがあるでしょうか。

北欧諸国、寒い場所、オーロラ、サウナ・・などイメージはあるものの、あまりよく知らないのが実態だと思います。

フィンランドは、2020年3月に国際連合による世界幸福度調査で、3年連続で“最も幸福度の高い国”に選ばれました。それでいて、1人当たりのGDPが世界15位(日本は26位)と、経済的にも高い生産性を誇っています。まさに、ワークライフバランスが整った国です。

そんなフィンランド人は、いったいどのような働き方をしているのでしょうか。日本人がそこから学べることもあるのではないでしょうか。今回の記事は、そんな幸福度ランキング1位につながるフィンランド人の働き方についてご紹介します。

フィンランドとはどんな国?

幸福度ランキング3年連続1位

冒頭でもご紹介しましたが、フィンランドは国際連合が発表する最も幸福度が高い国に2018年から2020年まで3年連続で1位を獲得しました。

【幸福度ランキング2018年~2020年】

2018 2019 2020
第1位 フィンランド フィンランド フィンランド
第2位 ノルウェー デンマーク デンマーク
第3位 デンマーク ノルウェー スイス
(参考) 日本(54位) 日本(58位) 日本(62位)

例年、トップ3は北欧諸国が名を連ねています。フィンランドはそのなかでも不動の一位を獲得しているのです。

幸福度ランキングでは、約150の国や地域を対象に、「 一人当たりGDP 」「社会的支援」「健康寿命」「人生の選択を行う自由」「 寛大さ」「政治腐敗」 「ディストピアとの残差」などの項目で1000名規模の調査を行っています。

フィンランドでは、これらの項目が全体として高く、幸福度ランキング1位を獲得しています。

フィンランドの産業

フィンランドの産業は、紙・パルプ等、金属、機械、電気・電子機器、情報通信などです。

フィンランドは全国土の75%以上を森林となっており、豊富な森林資源を活かした製紙・パルプ・木材を伝統的な基幹産業としています。次いで、金属・機械産業がこれに加わり,近年は携帯電話で有名なノキアに代表される情報通信産業も主要産業の一角をなしています。

日本と同様森林資源には恵まれているものの、石油やガスといったエネルギー資源には乏しく、また気候的にも厳しいため経済発展の条件には恵まれてはいません。

ところが、GDPで見ると、2018年のフィンランドの1人当たりのGDPは約4万9千ドルで世界15位。一方、日本は3万9千ドルで世界26位と、およそ1.25倍もの差があるのです。非常に高い生産性をもって仕事にあたっていることが分かります。

日本人が学ぶべきフィンランド人の働き方

幸福度ランキングで1位を獲得し、高い生産性を誇るフィンランド。そんなフィンランド人は仕事においてどのような働き方をしているのでしょうか。

なお、フィンランド人の働き方については、フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか (ポプラ新書)(堀内 都喜子著)を参考としています。

原則、残業はしない

フィンランド人は、原則残業をしません。上記の参考著書のタイトルにもある通り、16時~17時には仕事を終えて退社してしまいます。

フィンランドには、ワークライフバランスを重視する考え方があります。フィンランドでは、仕事は仕事、プライベートはプライベートと明確に区別をしています。仕事のためにプライベートの時間を削ってまで残業する、という考え方はありません。

また職場や取引先など周囲の関係者も、この「残業は原則しない」ということが浸透しているため、理解があります。ですから、よほど緊急のことでなければ、「今日はもう終業時間なので、明日対応します」ということが通用するのです。

一方で日本だと、「仕事が全てにおいて優先される」という意識が強いです。仕事が中心となり、「それ以外の時間がプライベート」という感覚でいるため、仕事を100%こなさないと、自分の時間を持ってはいけないような雰囲気があります。

当然、周囲も取引先も同じような感覚でいるため、「残業せずに帰る」ということに理解がありません。「仕事が終わってないのになぜ帰ろうとするんだ」という圧力がかかります。「今日はジムに行きたいので残りの仕事は明日やります」などとは、言い出しづらい環境なのです。

ワークライフバランスはなぜ必要か

そもそも、ワークライフバランスはなぜ必要なのでしょうか。ワークライフバランスを整えることが、仕事とプライベートの両面において、最大のパフォーマンスを発揮するからです。

仕事でパフォーマンスを発揮するためには、適度な休憩、精神的なリラックス、家族の支えなどが不可欠です。体や頭の疲れを取り、家族との団らんや一人の時間で精神的な穏やかさを取り戻す必要があります。

フィンランドでは終業後の時間は、趣味や家族との時間に費やします。周囲に森や湖などの自然が豊富なことから、ウォーキングやジョギング、釣りなどのアクティビティのほか、読書やゲームなどの趣味、家族との団らんに時間を費やします。

そういったプライベートの充実があってこそ、仕事のパフォーマンス向上が実現できるのです。

仕事中も適度に休憩を取る

フィンランドでの働き方の2つ目の特徴として、仕事中にも適度に休憩を取っていることが挙げられます。

なんと、フィンランドでは勤務中のコーヒー休憩が法律上決められているのです。1日に10分~15分、コーヒー休憩を取ることが従業員の権利として認められており、それも勤務時間に含まれているのです。

このコーヒー休憩は、2つのメリットがあると考えられます。

コーヒー休憩のメリット:集中力を回復させる

1つは、人の集中力を回復させることです。人の集中力の限界は諸説ありますが、およそ90分が成人の集中力の限界と言われています。集中力を回復させるためには、適度な休憩が効果的です。そう考えると、コーヒー休憩はカフェインの摂取と適度な休憩を同時に行うことができて、集中力回復には効果的です。

日本でも、仕事中に"休憩"を取っている人はいるでしょう。お茶を飲んだり、トイレに行ったり、タバコを吸ったりなどしている人も多いと思います。しかし、あくまでも自主的な範囲です。15分も席にいなければ、"サボり"だと思われてしまうため、落ち着いて休憩を取ることができません。

フィンランドではコーヒー休憩が法律で決まっているため、堂々と休むことができるのです。また、コーヒーのカフェイン摂取もあり、相乗効果で集中力を回復させることができます。

コーヒー休憩のメリット:コミュニケーション活性化

もう1つのメリットは、周囲とのコミュニケーションを活性化させることができます。

フィンランドでは、オフィスにコーヒールームや休憩室といったスペースが用意されており、そこでコーヒー休憩を取るのです。その際、色々な部署の従業員が集まって、一緒にコーヒー休憩を取ることができるのです。

そのようにしていろいろな部署の人と一緒に時間を過ごすと、社内の人間関係が円滑になります。仕事のパフォーマンスを上げるためには、人間関係を良好にしておくことはとても重要です。

日本でも喫煙スペースで喫煙者同士が仲良くなる「タバコミュニケーション」と呼ばれるものがある。今は時代の流れで喫煙スペース自体が縮小されてきているため、少しずつなくなってきてはいるでしょう。しかし、喫煙スペースでいろいろな部署の人とタバコを吸いながらコミュニケーションが取れたことは、大きなメリットがありました。

今後、日本でも社員同士がもっともコミュニケーションを気軽にとれる環境を整備していくことが、パフォーマンス向上の鍵になるのではと考えます。

長期休暇をとる

フィンランドでは、有給休暇の取得率はほぼ100%です。休みを上手に使って、心身を整え、仕事のパフォーマンスをあげています。

特に、フィンランドでは有給を使って1カ月程度の夏休みをとることが一般的となっています。

有給休暇を1カ月取得?

フィンランドでは、6月~8月でおよそ1か月程度の有給休暇を取ることが一般的となっています。「1年は11カ月」という認識がフィンランドでは広く浸透しているのです。

この長い休みを使って、フィンランド人はさまざまなアクティビティに従事します。湖や海でボートを楽しんだり、コテージで寝泊まりし自然のなかで過ごしたり、家族や友人とキャンプをしたりして過ごします。また、大学や高校などの公開講座へ通い、勉強をする人もいます。

このように1か月間、心身をリフレッシュさせることで、休み明けからまた全力で仕事に取り組むことができます。疲れを抱えたままダラダラと仕事をするよりも、かえってこの方が効率的に仕事が進むのです。

1カ月も休んで仕事は回るのか

そうはいっても、さすがに日本で1カ月休むということは、想像できません。「1か月も休みをとって仕事は回るのか?」と疑問に思う方も多いでしょう。

フィンランドでは、「夏は1か月休みをとるもの」ということを前提に、さまざまな工夫がなされています。

工夫1:夏休みの期間は年初に申請

さすがにフィンランドでも、いきなり「来月から1か月休みます」ということは通用しません。年明け早々に、上司が夏休みをの予定を部下からヒアリングしておいて、年間のスケジュールを組むのです。事前に休みの期間が分かっていれば、仕事の配分や進め方、人の補充といった計画が建てられるのです。

工夫2:人員の補充は大学生のインターンを活用

1カ月もの休みの期間を、全て上司や同僚がカバーすることは不可能です。そこで、大学生のインターンを活用して、人員の補充を図ります。

フィンランドでは、新卒採用制度がありません。フィンランドの会社は、常に即戦力となる人材を採用しています。そのため、大学生はインターンの募集に積極的に応募して、社会経験を積むのです。

フィンランドでは、教育にとても力を入れています。大学においても、即戦力で働けるようなカリキュラムやコースが用意されているため、大学生がいきなり会社で働く、ということもできるようになっているのです。

工夫3:失業者の受け入れ

人員補充は、大学生だけでなく、就職したいができない「失業者」も補充の対象としています。

実は、フィンランドでは失業率が7%程度と高く、失業者が多い国です。そのため、失業者からすると、夏休み期間での労働は自身のキャリアを改善するきっかけになるのです。

そういった人材を活用して、長期休暇の人材補充に充てているのです。

なお、フィンランドでは日本と同様、失業した後に国から受けられる失業給付金があります。日本では最長1年間の失業給付金ですが、フィンランドでは1年半もの間、失業給付金を受け取ることができます。

フィンランド人の働き方に関する本

フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか (ポプラ新書)(堀内 都喜子著)

まとめ

フィンランドが幸福度ランキング1位を取る理由の一つに、ワークライフバランスが整っていることがあることは間違いありません。

きちんと休んできちんと働く。そういう基本的なサイクルができているからこそ、高いパフォーマンスを発揮できるのでしょう。

日本人は、とかく「休むこと」が苦手だと感じます。

仕事を効率的にするためにも、積極的に休むことを取り入れてみてはいかがでしょうか。

 

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