みなさん、こんにちわ!あるぱかです。
このブログは、自己改善やパフォーマンス向上のヒントとなる情報を発信しています。
本日のテーマは「会議」です。
ビジネスパーソンは、日々会議に参加する機会が多いと思います。
会議は、さまざまな場面で発生します。
意思決定、情報共有、取引先との打ち合わせ、ちょっとした相談事などなど。
組織で仕事をしていくうえで、会議は必要不可欠なものです。
しかし、会議ではしばしば不合理な意思決定や本人が望まない流れになってしまうことも多々あります。
「本当はA案で進めたかったのに、話の流れで結局B案になってしまった」
「あの案には反対したかったのに、言い出すことができなかった」
「かなりリスクの高い案が通ってしまったけど、本当に大丈夫なんだろうか」
など、不本意な結果となってしまう経験、あなたにもあるのではないでしょうか。
あなたが会議の主催者・ホストであった場合には、不合理な意思決定とならないように注意する必要があります。
また、主催者・ホストでなくとも、会議がよくない流れになりつつあるときは、その流れを止める必要があります。
会議などの集団での意思決定において、なぜ不合理な意思決定をしてしまうのか。
その心理学的な理由と解決方法をご紹介します。
目次
①リスキーシフト
赤信号、みんなで渡れば怖くない
会議での意思決定で陥りやすい状況で「リスキーシフト」と呼ばれるものがあります。
リスキーシフトとは、集団で判断することで、より危険でリスクの高い決断を容易にしてしまうことを指します。
たとえば、新しい事業案を決める会議において
A案:成功した場合に利益が100億円見込めるが、失敗した場合の損失は500億円
B案:成功した場合に利益が10億円見込めるが、失敗した場合の損失は1億円
この2案が出されたとします。
あなたが経営者だったら、どちらの案を選ぶでしょうか?
(成功率から期待値を計算するのがもっとも合理的ですが、ここでは成功率は不明ということにします。)
A案の場合は、よほど成功率が高くなければ、期待値はマイナス(損失)になるでしょう。
B案はの方が利益額は小さいですが、リスクとリターンのバランスを考えると魅力的です。
したがって、本来はB案を選ぶことが合理的な判断と言えるでしょう。
しかし、リスキーシフトが働くと、どうなるでしょうか。
A案は利益額が100億円で、額だけ見ればとても魅力的です。
一方、損失リスクは500億円です。
個人で判断するには、とてもリスキーな選択肢です。
しかし、その意思決定が集団でなされるのであれば、失敗したときの責任は分散されます。
「A案でいこうと決めたのは私だけではない」
という言い訳ができてしまうため、A案を選んでしまう可能性が高くなるのです。
いわば、「赤信号、みんなで渡れば怖くない」状態です。
これが、「リスキーシフト」です。
リスキーシフトの解決方法:事前に主要出席者に話を通しておく
それでは、このリスキーシフトを避ける方法はあるのでしょうか。
1つの解決方法として、「事前に主要出席者に話を通しておく」という方法があります。
集団での意思決定の場では、リスキーシフトしやすい傾向にあります。
したがって、事前に打ち合わせの場などをもうけ、通したい案について話をしておけば、会議の場でリスキーシフトする可能性は低くなります。
先の例で、あなたが事業案を提案する担当者だった場合に、事前に役員に対して
「A案は利益額は魅力的ですが、とてもリスキーです。したがって、次の会議ではB案を推す予定です。」
などど話をしておけば、会議の雰囲気に流される可能性は減るでしょう。
会議では、流れがあります。
いったんその流れができてしまうと、流れを変えることは簡単ではありません。
事前に、流れの方向を調整しておけば、自分の望む結論に達する可能性が高くなります。
②個人に対する先入観
「何をしゃべるか」ではなく「誰がしゃべるか」が大事
「ダイエットには1日1杯の豆乳がおすすめです!」
これを、スレンダーで健康的な有名女優と、太っていて不健康な一般人から言われるのと、どちらが説得力があるでしょうか。
当然、前者でしょう。
上記は極端な例ですが、会議においても、「何をしゃべるか」ではなく「誰がしゃべるか」によって印象がずいぶん変わってしまいます。
たとえば、会議で提案された内容について反対意見を出すときに
入社して間もない若手が発言するのと、管理職クラスが発言するのとでは印象が違います。
若手の発言に対しては、「大して知りもしないくせに、生意気なことを言う」と思い、反論しだす人もいるかもしれません。
そうなると、会議は思わぬ方向へ進んでしまいます。
しかし、全く同じ内容を管理職が話すと「さすが、説得力がある」と印象が変わってしまうのです。
これはなぜ起こるのでしょうか。
それは、先入観をもって話を聞いてしまうためです。
若手が話をしようとすると、「まだ若いからどうせ大した発言ではないだろう」という先入観をもって、話を聞いてしまいます。
すると、それがいかに合理的な内容であったとしても、アラを探してしまうのです。
「大した発言ではない」という聞き手の先入観と合うような根拠を、無意識のうちに探してしまうのです。
これでは、いかに合理的に話をしたとしても、会議はスムーズに進めることはできません。
個人に対する先入観への解決方法①:ふさわしい人物から発言してもらう
この先入観に対する解決方法の1つ目として、「ふさわしい人物から発言してもらう」があります。
これは、先ほどの例では、重要な部分については管理職から話をしてもらったり、その会議体で一番影響力のある人物に事前に話を通しておく、などの方法が考えられます。
特に、影響力のある人物に事前に話をシェアしておくことはとても大事です。
その人物から話をしてもらうということが難しかったとしても、内容について事前にシェアできていれば、その内容についての反対意見があったときに、影響力のある人物から助け舟を出してもらえる可能性があります。
事前に話をシェアされていた側としては、自分が事前に納得していた内容に反対意見が出れば、黙ってはいられないでしょう。
個人に対する先入観への解決方法②:匿名でアイデア出しをしてもらう
もう1つの解決方法として、「アイデア出しを匿名にする」が挙げられます。
これは、たくさんの案を集めてその中から1つを選ぶときに有効です。
たとえば、製品のキャッチフレーズを決める会議を開くとします。
キャッチフレーズ案は、会社の各部署から提出してもらうとします。
この際に、出された案がすべて記名式だとどうなるでしょう。
役職の高い人や普段から会社に影響力のある案は良く見えてしまい、逆に若手やあまり周りから信用されていない人の案は悪く見えてしまいます。
これも、先入観に対するデメリットです。
キャッチフレーズの良し悪しは、年齢や普段の仕事の成果とはあまり関係ないはずですが、つい人は先入観でものごとを見てしまいます。
「誰のアイデアか」を分からないようにして会議に出すことで、こういった先入観を防ぐことができるのです。
③同調圧力
日本人は関係性を重視
最後にご紹介するのは、「同調圧力」です。
みなさん、こんな経験はないでしょうか。
「本当は自分は反対なんだけど、なんか言い出しづらいな」
「反対意見を出すと、嫌なやつだと思われそうで怖いな」
「せっかく会議の雰囲気もいいし、あえて反対意見を出して場を乱すこともないか」
このように考えて、反対意見を言えずに自分が望んでいない結果に終わってしまう、という経験があるのではないでしょうか。
これは、ビジネスの場でも多々あることです。
「会長(社長)の意見に誰も反対できず、鶴の一声で決まってしまった」
「リスクについて全然議論ができないまま、決まってしまった」
こんな風に、周りの雰囲気に合わせて反対意見が出ないまま、会議が終わってしまうことがあります。
これは当然、ビジネスにとってマイナスです。
本来は、メリットデメリットなどさまざま議論しつくした上で意思決定しないといけません。
それなのに、同調圧力に押されて「なんとなく決まってしまった」というのは、一番避けるべきことです。
この同調圧力はなぜ起こるのでしょうか。
それは、日本人は他人との関係性を重視するからです。
上記の記事でも触れていますが、日本人は金銭報酬以上に、
「他人とよい関係を築きたい」
「周りの人にもっと認められたい」
といった、「心理的報酬」を重視する傾向があります。
この心理的報酬を満たすために、逆に人間関係が悪くなってしまうことを極端に恐れてしまうのです。
「反対意見を出して、嫌われてしまったらどうしよう」
「面倒くさいやつだと思われないだろうか」
そんな思考が働き、同調圧力に簡単に屈してしまうのです。
同調圧力への解決方法:デビル審理法
同調圧力によって反対意見が出ないことを避けるために、「デビル審理法」というやり方をご紹介します。
デビル審理法とは、会議において、あらかじめ反対意見を出す役を決めておく方法です。
会議の冒頭で、「今日は●●さんに反対意見を出す役をやってもらいます」と宣言しておきます。
そうすることで、その役の人が反対意見を出しても、不快な思いをする人はいません。
また、反対意見が1つ出ると、ほかの人からもさまざまな観点の意見が出てきやすくなります。
それによって、多面的な議論ができるようになるのです。
まとめ
会議で不合理な意思決定をしてしまう3つの理由をお話ししてきました。
会社の会議に限らず、集団で意思決定するときに、ご紹介したようなことを経験した人も多いのではないでしょうか。
日本人は特に、自分の意見を主張するよりも、「和」を重視します。
それ自体は決して悪いことばかりではないです。
しかし、「会議」という場面においては、マイナスに働くことが多いです。
会議の目的は何なのか、という本質的なことを考えて、きちんとした議論ができる環境を整えておくことが重要です。
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最後に、心理学に関するおすすめ書籍をご紹介します。
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